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フィンランド 湖とサウナと トレッキングと (上)

日本では猛暑が尾を引いていた9月末。 約7500キロ離れた北欧、フィンランドでは秋から冬へと確かに季節が巡っていた。 朝晩は0℃近くまで冷え込むなか、薪を燃やしてサウナで身体を芯から温める。全身の毛穴から汗が噴き出すとそのまま湖に飛び込む。むせるような暑さと突き刺す冷たさを交互に味わうと、身体はまるで生まれ変わったかのように新鮮で研ぎ

フィンランド 湖とサウナとトレッキングと (下)

燃える身体 「全然冷たくない、いけるわこれ」 私は湖に両足を突っ込み、思わず声を上げてしまった。 先ほどは氷のように冷たく感じたのが嘘のよう。 身体の中で暖炉の火が燃え続けているようだ。 はしごから手を離し、全身を湖に預けた。肺が急激な温度変化に縮こまるのが分かる。 だがそれは真夏のプールのように、ひんやりとしながらも心地よい。 続いて湖に

コッツビュー再訪 (6)

私は絶望的な気分になっていた。 「昨日チャックから電話があったぞ。あいつは今フスリアのあたりにいるらしい。このペースだと早くてもあと10日はかかるな」 チャック・シェイファーの友人、フレッドは私にそう告げた。日付は3月20日。あと10日もすれば私は日本に戻り、就職しなければならない。 フスリアはコッツビューからおよそ300キロはあろう

コッツビュー再訪 (5)

それは一瞬の出来事だった。 双眼鏡越しにカリブーを捉えたランスは、長男のコーディーだけ連れてスノーモービルのエンジンを吹かし、あっという間にその姿が小さくなった。 数百メートル先の大雪原の上を全力で走るカリブーは3匹ほど。この距離からでも、小バエのようなその小さな点が、死の恐怖からありったけの力を込めて逃げる様子が確認できた。 その後

コッツビュー再訪 (4)

私はチャック・シェイファーからの連絡を待ちながら、残された時間を有効に使う術を探した。 幸いにも私はこの町にいくつかの友人がいる。ハーマンの家に居候していることもあり、この哀れな日本人学生をフィールドに連れ出してくれる人を見つけることはそう難しくなかった。 ハーマンの甥っ子にあたるランス・クラマーは、この町で牧師をしている、人口300